2009年5月30日土曜日

シャープレシオ最大化問題 その2

前回のつづきです

前回は Σ を間に挟んだ内積を定義して
特殊なケースでの最大値を求めましたね~
今日はそうでない場合を考えましょう!
(実はこのアプローチなら前回の場合を含む形で解けます)

さて,問題が解く最初のステップは,
制約 1Tw = 1 を満たす wを扱いやすい形で表現することです.
このために,次の集合を導入しましょう:

K = \{ \, v \in \mathbb{R}^N \mid
\langle \varSigma^{-1} \boldsymbol{1},
v \rangle_\varSigma = 0 \, \}
これは Σ-11で張られる線形部分空間の直交補空間です.
(内積 ⟨•,•⟩Σ を持つヒルベルト空間の意味でです)

集合 K を導入するメリットは,もしある w
制約 1Tw = ⟨ Σ-11, wΣ = 1 を満たすとすると
任意のv ∈ K に対して w + v もまた制約を満たすということです.
従って制約を満たす代表の w を一つ見つけたら
あとは w + v, vK の形で制約を満たすすべてのwを表現できます

そこで制約を満たす代表の w を見つけましょう!
これは超簡単で, Σ-11 のスカラー倍で制約を満たすよう調整します.
つまり次のベクトルを代表に選びましょう:

\frac{\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}}
{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1}
\rVert_\varSigma^2}
以後 vK をパラメータとして

w = \frac{\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}}
{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1}
\rVert_\varSigma^2} + v, \quad v \in K
w を考えていきましょう.

上の形の w を θ に代入して問題を パラメータv
の問題に書き換えると次のようになります:

\begin{aligned}
\text{maximize} &\quad f(v) = \theta\biggl(
\frac{\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}}
{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1}
\rVert_\varSigma^2} + v \biggr) \\
&\quad\quad\quad=
\frac{ \langle s, v \rangle_\varSigma
+ \frac{\langle s, \varSigma^{-1}\boldsymbol{1} \rangle_\varSigma}{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1} \rVert_\varSigma^2}
}{
\sqrt{ \lVert v \rVert_\varSigma^2 + \frac{1}{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1} \rVert_\varSigma^2} }
}
\\
\text{subject to}&\quad v \in K
\end{aligned}
f の分母を導出する際に,v と Σ-11が直交することを用いたことに注意してください.


関数は複雑になりましたが,少し進展したんですよ(-_-;)
とりあえず今日はこの w から v への変数変換を行ったとこまでにします.

それではまた~

0 件のコメント:

コメントを投稿