2009年5月18日月曜日

リスクとリターン:確率変数の導入

今日はリスクとリターンについて考えます.

1期間モデルを考えましょう.
つまり,ポートフォリオを組んだ後,しばらくして決済するってことです.

n 種類の資産からなるポートフォリオ
w = (w_1, w_2, \dots, w_n)^T
を持ってます.
これから考える問題は…
このポートフォリオのリターンとリスクを評価する問題です(^^)


さて,まずはリターンから考えましょう.
資産 i の1期間後の値上がり率をri とします.
もしri < 1 ならそれは値下がりしたってことです…

もちろん値上がり率なんて「神のみぞ知る」ですから
不確定さを表現するために確率変数としてモデル化します.

このとき,ポートフォリオによる収益は1期間後に

\begin{aligned} s &= w_1 r_1 + w_2 r_2 + \dots + w_n r_n \\
&= w^T r, \\ r &= (r_1, r_2, \dots, r_n)^T \end{aligned}
になります.
ここで,sw が比による表現なら収益率を表し,
金額による表現ならいくら儲かったかを表しますね~

これがリターンです.
数学的にはユークリッド内積であらわせます.

期待されるリターンはもちろん
\mathbb{E}[s] = w^T \mathbb{E}[r]
になります.
あ,ベクトルの期待値は各成分ごとの期待値です…念のため.


この期待されるリターンはいったいどれくらいの
「不確かさ」を含んでいるのでしょうか?
これがすなわち「リスク」であり,分散で表現します.

資産iと資産j の共分散が σij の時
期待リターンの分散は次のようになりますね:

\begin{aligned}
\sigma^2 &= \mathbb{E} [ (s - \mathbb{E}[s])^2 ] \\
&= w^T \mathbb{E} [ (r - \mathbb{E}[r]) (r - \mathbb{E}[r])^T ] w \\
&= w^T \varSigma w
\end{aligned}
ここで Σ は共分散行列で ij成分が σijの行列です.

この2次形式で表わされる量がポートフォリオの分散,すなわちリスクになります.
ポートフォリオの最適化では基本的にはこれら2つの量,
期待リターンとリスクを最適化する模様です!!

今日のまとめ: ポートフォリオ w の期待リターンとリスクはそれぞれ

\begin{aligned} s &= w^T \overline{r} ; \\ \sigma^2 &= w^T \varSigma w \end{aligned}
である.ここで,\overline{r}, \ \varSigmaはそれぞれリターンの期待値ベクトルと共分散行列である.

だんだん最適化っぽくなってきましたね!
それではまた~(^^)/

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