2009年6月8日月曜日

最近~♪

こんばんわ!

最近更新が滞ってます(-_-;)

というのも,より詳細なデータ分析を
Doしちゃいいたいと思ってきた今日この頃でして~

データ収集のためにあんなこんななわけですわー


ちなみに,データ分析にはどんなソフトがお薦めですか??
まあ俺のような凡人にはエ○セルがお似合いでしょうけどね…

でもマス目に数字がドバっと並ぶとクラクラしますよね(@_@;)


とりあえず,なんかできたら報告させていただきます~!

2009年6月2日火曜日

シャープレシオ最大化 ちょい実験

<<関連トピック>>
シャープレシオ最大化問題
その1その2その3その4


はてはて,これまで長きにわたりシャープを最大化する問題
を考えてきて,ようやく答えがでたところでした~
今日は実データをもとに実験してみたいと思います!!
ようやく投資の匂いが漂ってきました(^^)


今日のところは銘柄選択は問題とせず,
適当に以下の5社を選びました.

パナソニック (6752)
任天堂 (7974)
シンプレクス テクノロジー (4340)
東京電力 (9501)
トヨタ (7203)

これら5社の2009/1/5~5/27までの日足データをもとに
1日の平均リターンと共分散を求めました(下参照)
データはYahoo Financeから拝借.
統計データの計算法は日足とか使ってる時点で怪しいかも…
また,安全資産は年0.5%の国債ってことにして,
1日の金利を 0.5 / 365 で計算しますた(適当…)
ともかく,実験なので良しとします~ぉぃぉぃ

リターン
パナ任天堂シンプ東電トヨタ国債
0.22%-0.29%0.46%-0.20%-0.10%0.0014%

共分散行列

パナ任天堂シンプ東電トヨタ
パナ1.02E-033.59E-042.51E-054.76E-05-7.76E-06
任天堂3.59E-049.43E-049.89E-052.84E-05-1.06E-05
シンプ2.51E-059.89E-051.12E-03-2.98E-056.09E-05
東電4.76E-052.84E-05-2.98E-052.74E-04-1.79E-05
トヨタ-7.76E-06-1.06E-056.09E-05-1.79E-051.59E-04

※表示の都合上少数第2桁位しか書いてませんが
実際はもっと正確な数字でやってます


実験1
上の5銘柄の組み合わせ(5銘柄全部使わないものも含む)を試し
シャープが最大になったのは
パナ,任天堂,シンプレクスの3銘柄を選んだ時でした.
最適なポートフォリオは
(1.1917, -1.5534, 1.3617)

ということでこのポートフォリオのプロファイルは
Return: 1.3458%
Risk: 6.4241%
Sharp: 0.2095
という結果でした~

まあ選んだ銘柄のリターンをみればあまり良い銘柄選択でない
ことは明らかで,まあこんなもんかーって感じです.

シャープを最大化しているポートフォリオであることを
図で確認するために以下の絵を用意しました(^^)



絵の見方を説明しましょう~
まず,横軸はポートフォリオのリスク(標準偏差),
縦軸はリターンを表します.
黒い点々はポートフォリオをランダムに生成して描いた
リスク-リターンの散布図になります.
つまり,ざっくり浮かび上がる黒い領域が
実現可能なリスク-リターンの組み合わせということです!

先端の水色の領域はショートを禁止してロングだけを許した場合に
実現可能なリスク-リターンの領域を表します.
空売りで領域がかなり広がることがわかりますね…

また,赤い直線のy-切片が国債のリターン,
もう一方の赤い点がシャープレシオを最大化する
ポートフォリオのリスク-リターンです.
すなわち,赤い直線の傾きがシャープレシオなのですが,
直線が黒い領域に接していいる様子,つまりー
シャープレシオが最大化されている様子がわかりますね!
(黒い領域の任意の1点と国債の点を結んだ直線の傾きは
赤い直線の傾きよりも小さいです)

ちなみにこの3銘柄ではその4で述べた
ケース2に相当しています.



実験2
せっかくなので問答無用で全銘柄を組み合わせてみました~
残念ながらこの5銘柄ではその4で述べた
ケース3に相当していて最大値がありません(^_^;)

そこで妥協ポートフォリオを計算してみました.
下の図をご覧下さい:



黒い領域と水色の領域は実験1と同じで
実現可能なポートフォリオを示しています.

ピンクの点々はその4で述べた
ケース3の妥協ポートフォリオの
パラメータ α を0から少しずつ大きくしていった時の
ポートフォリオの軌跡になります.

α = 0 では黒い領域のちょうど先端,
すなわち最小リスクのポートフォリオになっていて,
そこから α を大きくするにつれて
実現可能領域の上ギリギリを這うようにして
リスクもリターンも増加していきます.

この場合,傾き(シャープ)の最大はないけれども
その上限値を十分に近似しようと思うと
ピンクの点を無限に遠くにもっていかなければならないことが
直感的にわかるかとおもいます.
(つまり α を無限大に吹っ飛ばすってことです)

ちなみに赤い直線はリスクが約24%になる点と国債の点を結んだ線で
シャープの上限を示しているわけではありません(-_-;)
参考までにこのポートフォリオは
(4.8304, -4.2276, 5.3806, -3.1820, -1.8014)

でそのプロファイルは
Return: 5.616%
Risk: 23.936%
Sharp: 0.23462
です.

ポートフォリオベクトルを見ればわかるように
たくさん買ってたくさん売るっていう
怪しいポートフォリオの出来上がりであります(-_-;)
なるべくこのケースに陥らないように
銘柄を選択しなければなりませんな~


ここでお買い得情報をお教えします!
実はその4で述べたケース2の不等式の条件とは
最小リスクのポートフォリオのリターン,
すなわち黒い領域の先端のリターンが
安全資産のリターンを上回るっていう条件なのですよ!

まあこういう状況が普通でしょう!
だってリスクを負ってるのに安全に稼げるリターンより
低いリターンしか実現できない状況っていったい…
ってかんじですよね^^;


今日はなんだか実験したんで
リスクやリターン,シャープといったものの理解が深まりマスタ!

ではおやすみなさい~

2009年6月1日月曜日

シャープレシオ最大化問題 その4

さて,前回まででシャープレシオを最大化する
ベクトルの範囲をかなり限定することに成功し
ついには非負のパラメータ α の関数の最大化に
帰着させることに成功したのでした~
その関数とはずばり…

g(\alpha) = \frac{ \alpha\lVert q\rVert_\varSigma^2 + \frac{\langle s, \varSigma^{-1}\boldsymbol{1} \rangle_\varSigma}{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1} \rVert_\varSigma^2}
}{ \sqrt{ \alpha^2\lVert q \rVert_\varSigma^2 + \frac{1}{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1} \rVert_\varSigma^2} } }
であります(^^)/
ここで

\begin{aligned}
s&=\varSigma^{-1}(\mu-r\boldsymbol{1})\\
q&=\biggl( s - \frac{\langle \varSigma^{-1}\boldsymbol{1}, s\rangle_\varSigma}{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1}\rVert_\varSigma^2}\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}\biggr)
\end{aligned}
でしたね!ちなみに,肝心の w は α を用いて

w=\frac{\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}}{\lVert\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}\rVert_\varSigma^2}+v=\frac{\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}}{\boldsymbol{1}^T\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}} + \alpha q
と復元できたことも思い出しておきましょう.


さて,こいつをガツんとびぶっちゃうとこうなります:

g'(\alpha)=\frac{\lVert q\rVert_\varSigma^2 \bigl(1-\alpha\langle s,\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}\rangle_\varSigma\bigr)}{\lVert\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}\rVert_\varSigma^2\Bigl(\alpha^2\lVert q\rVert_\varSigma^2 + \frac{1}{\lVert\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}\rVert_\varSigma^2}\Bigr)^{\frac{3}{2}}}
あとは3通りに場合分けして答えをえます!

場合分けは高校生でもできるので簡単です~
ので省略します…(-_-;)
まとめると答えは次のようになります!


シャープレシオ最大化問題を解くポートフォリオ w および
その時のシャープレシオ θmax, リターン rp,
リスク(標準偏差) σp は次のようになる:
ケース1
\mu=\rho\boldsymbol{1}\ \text{for some}\ \rho\in\mathbb{R}のとき

\begin{aligned}
w&=\frac{\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}}{\boldsymbol{1}^T\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}},\\
\theta_{\rm max} &= (\rho-r)\sqrt{\boldsymbol{1}^T\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}},\\
r_p &= \rho,\\
\sigma_p&=\frac{1}{\sqrt{\boldsymbol{1}^T\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}}}
\end{aligned}
ケース2

\begin{cases}
\mu\neq\rho\boldsymbol{1} \quad \text{for all}\ \rho\in\mathbb{R}\\
\langle s,\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}\rangle_\varSigma =\boldsymbol{1}^T \varSigma^{-1} (\mu - r\boldsymbol{1}) > 0
\end{cases}
のとき

\begin{aligned}
w&=\frac{\varSigma^{-1}(\mu-r\boldsymbol{1})}{\boldsymbol{1}^T\varSigma^{-1}(\mu-r\boldsymbol{1})}\\
\theta_{\rm max} &= \sqrt{(\mu-r\boldsymbol{1})^T\varSigma^{-1}(\mu-r\boldsymbol{1})}\\
r_p&=\frac{\mu^T\varSigma^{-1}(\mu-r\boldsymbol{1})}{\boldsymbol{1}^T\varSigma^{-1}(\mu-r\boldsymbol{1})}\\
\sigma_p&=\frac{\sqrt{(\mu-r\boldsymbol{1})^T\varSigma^{-1}(\mu-r\boldsymbol{1})}}{\boldsymbol{1}^T\varSigma^{-1}(\mu-r\boldsymbol{1})}
\end{aligned}
ケース3

\begin{cases}
\mu\neq\rho\boldsymbol{1} \quad \text{for all}\ \rho\in\mathbb{R}\\
\langle s,\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}\rangle_\varSigma =\boldsymbol{1}^T \varSigma^{-1} (\mu - r\boldsymbol{1}) \le 0
\end{cases}
のとき
最大値は存在しない.
しかし妥協案として次のポートフォリオが考えられる.

\begin{aligned}
w_\alpha&=\alpha\varSigma^{-1}(\mu-r\boldsymbol{1}) \\
&\qquad+ \bigl\{1-\alpha\boldsymbol{1}^T\varSigma^{-1}(\mu-r\boldsymbol{1}) \bigr\}
\frac{\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}}{\boldsymbol{1}^T\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}}\\
\theta_\alpha&= g(\alpha)
\end{aligned}
g は上で定義したとおり.
g は α の単調増加関数なので,α を十分大きくとればその上限

\sup_{\alpha\ge 0} g(\alpha) = \sqrt{(\mu-r\boldsymbol{1})^T\varSigma^{-1}(\mu-r\boldsymbol{1}) - \frac{(\boldsymbol{1}^T\varSigma^{-1}(\mu-r\boldsymbol{1}) )^2}{\boldsymbol{1}^T\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}}}
を任意の精度で近似できる.
ただし, α を大きくするにつれてリスクも(リターンも)無限大に近づくことに注意!


【考察】
ケース1は実際はほとんど起こり得ないと考えられるでしょう.
また,実際はポートフォリオに組み込む銘柄を選択できるので
できるだけケース2の条件を満たすように選ぶことが理想的です.
なぜなら,ケース3において最小のリスクになるように α を調整したとします.
これは α = 0 で実現できるのですが,
このポートフォリオは最小のリスク(標準偏差)を与えるにも関わらず,
(もちろん危険資産の組なのでリスクは0ではありません)
そのリターンは安全資産の金利 r よりも低いというサックスな
ポートフォリオなのです!!!
(これは簡単に確認できます)


ふぅ,長かったですがようやくシャープレシオ最大化問題に終止符を打てました!
次回は実験してみたいと思います!!

それでは~(^^)/

2009年5月31日日曜日

シャープレシオ最大化問題 その3

<<前回までのリンク>>
その2その1

前回は制約を満たす w をカーネル K の元 v を用いて
変数変換を行いましたね~
その結果問題は次のように書き変わったのでした~

\begin{aligned}
\text{maximize} &\quad f(v) = \frac{ \langle s, v \rangle_\varSigma + \frac{\langle s, \varSigma^{-1}\boldsymbol{1} \rangle_\varSigma}{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1} \rVert_\varSigma^2}
}{ \sqrt{ \lVert v \rVert_\varSigma^2 + \frac{1}{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1} \rVert_\varSigma^2} } } \\
\text{subject to}&\quad v \in K = \{\, x\in\mathbb{R}^N \mid \langle \varSigma^{-1}\boldsymbol{1}, x\rangle_\varSigma = 0\,\}
\end{aligned}
ただし
s = \varSigma^{-1}(\mu - r \boldsymbol{1})
だったことを思い出しておきましょう(*_*;
(その1参照)

今日は第2のステップです!
今日のテクは非常によく使われる常套手段ですよー

一般に,任意のベクトルはある部分空間とその直交補空間の元の和で
一意に表現できることが知られています.
そこで sK とその直交補空間 K の元に分解しましょう~
後々ご利益がわかるとおもいます(^_^;)

さて,分解の仕方は簡単なのですが結果だけ書くことにします:

\begin{aligned}
s &= q +\underbrace{\frac{\langle \varSigma^{-1}\boldsymbol{1}, s\rangle_\varSigma}{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1}\rVert_\varSigma^2}\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}}_{\in K^\perp}\\
q &= \biggl( s - \frac{\langle \varSigma^{-1}\boldsymbol{1}, s\rangle_\varSigma}{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1}\rVert_\varSigma^2}\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}\biggr) \in K
\end{aligned}
右辺が s であることは自明ですね...
また qK の元であることも簡単に確認できます.

この表現を f の分子第一項に代入して
v が Σ-11 と直行することに注意すると

f(v) = \frac{ \langle q, v \rangle_\varSigma + \frac{\langle s, \varSigma^{-1}\boldsymbol{1} \rangle_\varSigma}{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1} \rVert_\varSigma^2}
}{ \sqrt{ \lVert v \rVert_\varSigma^2 + \frac{1}{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1} \rVert_\varSigma^2} } }
になります.
(分子の第一項の s だった部分が qK に変わりました)

さて,ここまで来たらあと一息です!
vK を大きさと角度(内積)に分けて考えましょう!
v の長さ(ここでは f の分母に現れるノルムのこと)を固定して
方向をいろいろ変えてみましょう~
すると,明らかに f の分子は v
q と同じ方向を向いている時のほうが大きいですよね!
よって v としてはスカラー α ≥ 0 を用いて v = αqK
となる v だけ考えればよいことになっちまいます!!

ちょいメモ:
ここで sK の方向 q とその直交方向に分解したことが生きてます
というのも,もし分解せずに同じ議論を行うと
v = αs が良いってことになっちまいますが
残念ながら sK でない限り αsKです…
これじゃ vK という制約が満たされませんぜ..

さて,v = αqf(v) に代入して α ≥ 0 の関数に書き直すと…

\begin{aligned}
g(\alpha) &= f(\alpha q)\\
&= \frac{ \alpha\lVert q\rVert_\varSigma^2 + \frac{\langle s, \varSigma^{-1}\boldsymbol{1} \rangle_\varSigma}{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1} \rVert_\varSigma^2}
}{ \sqrt{ \alpha^2\lVert q \rVert_\varSigma^2 + \frac{1}{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1} \rVert_\varSigma^2} } }
\end{aligned}
になります!
ここまで来たらあとは α ≥ 0 以外は定数だから
微分でもすりゃー高校生だって解けちゃいます!


疲れましたね…
次回はこいつを微分して決着をつけましょう!

それでは
(@^^)/~~~

2009年5月30日土曜日

シャープレシオ最大化問題 その2

前回のつづきです

前回は Σ を間に挟んだ内積を定義して
特殊なケースでの最大値を求めましたね~
今日はそうでない場合を考えましょう!
(実はこのアプローチなら前回の場合を含む形で解けます)

さて,問題が解く最初のステップは,
制約 1Tw = 1 を満たす wを扱いやすい形で表現することです.
このために,次の集合を導入しましょう:

K = \{ \, v \in \mathbb{R}^N \mid
\langle \varSigma^{-1} \boldsymbol{1},
v \rangle_\varSigma = 0 \, \}
これは Σ-11で張られる線形部分空間の直交補空間です.
(内積 ⟨•,•⟩Σ を持つヒルベルト空間の意味でです)

集合 K を導入するメリットは,もしある w
制約 1Tw = ⟨ Σ-11, wΣ = 1 を満たすとすると
任意のv ∈ K に対して w + v もまた制約を満たすということです.
従って制約を満たす代表の w を一つ見つけたら
あとは w + v, vK の形で制約を満たすすべてのwを表現できます

そこで制約を満たす代表の w を見つけましょう!
これは超簡単で, Σ-11 のスカラー倍で制約を満たすよう調整します.
つまり次のベクトルを代表に選びましょう:

\frac{\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}}
{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1}
\rVert_\varSigma^2}
以後 vK をパラメータとして

w = \frac{\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}}
{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1}
\rVert_\varSigma^2} + v, \quad v \in K
w を考えていきましょう.

上の形の w を θ に代入して問題を パラメータv
の問題に書き換えると次のようになります:

\begin{aligned}
\text{maximize} &\quad f(v) = \theta\biggl(
\frac{\varSigma^{-1}\boldsymbol{1}}
{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1}
\rVert_\varSigma^2} + v \biggr) \\
&\quad\quad\quad=
\frac{ \langle s, v \rangle_\varSigma
+ \frac{\langle s, \varSigma^{-1}\boldsymbol{1} \rangle_\varSigma}{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1} \rVert_\varSigma^2}
}{
\sqrt{ \lVert v \rVert_\varSigma^2 + \frac{1}{\lVert \varSigma^{-1}\boldsymbol{1} \rVert_\varSigma^2} }
}
\\
\text{subject to}&\quad v \in K
\end{aligned}
f の分母を導出する際に,v と Σ-11が直交することを用いたことに注意してください.


関数は複雑になりましたが,少し進展したんですよ(-_-;)
とりあえず今日はこの w から v への変数変換を行ったとこまでにします.

それではまた~

2009年5月28日木曜日

シャープレシオ最大化問題 その1

こんばんわ~
前回までシャープレシオの最大化についてこだわってきましたが
ようやくその問題を解決していきたいと思います!

レイリーやら固有値やら考えてきましたが
長かったです~
「急がばまわれ」これはウソですね.
遠回りせず直接考えたほうが早かった模様であります(-_-;)



さて,回を重ねるうちに問題もふにゃふにゃしてきたので
いったん数学的に整理してから始めたいとおもいます.


【シャープレシオ最大化問題】
金利 r の安全資産1つと N 個の危険資産(確率変数)の組
X = (X_1, X_2, \dots, X_N)^T
を考える.(ここで Xi は危険資産 i の1期間後の利回りを表す.)
ベクトルXに関する2次までの統計量がそれぞれ

\begin{aligned}
\mu &= \mathbb{E} X \quad \text{(mean rate vector)} \\
\varSigma &= \mathbb{E}[ (X-\mu)(X-\mu)^T ] \quad \text{(covariance matrix)}
\end{aligned}
で与えられる時,(空売り有の)ポートフォリオ w
(N 次元ベクトルで成分の総和が1)
のシャープレシオ θ(w)を最大化せよ.
すなわち,次の最適化問題を解け:

\begin{aligned}
\mathop{\rm maximize}\limits_{w \in \mathbb{R}^N} &\quad \theta(w) =
\frac{\mu^T w - r}{ \sqrt{w^T \varSigma w} } \\
\text{subject to} &\quad \boldsymbol{1}^T w = 1
\end{aligned}
ただし,1 = (1, … 1)T とし共分散行列 Σ は正定値であると仮定する.


【答え】
以前この話題で導入した行列を間っこに挟んだ内積とノルムを導入します:

\begin{aligned}
\langle x, y \rangle_\varSigma &= y^T \varSigma x\\
\lVert x \rVert_\varSigma &= \sqrt{ \langle x, x \rangle_\varSigma }
\end{aligned}
これと条件 ,1Tw = 1 を用いるとすぐに

\begin{aligned}
\theta(w) &= \frac{(\mu - r \boldsymbol{1})^T w}{\sqrt{w^T\varSigma w}}
= \frac{ \langle s, w \rangle_\varSigma }{ \lVert w \rVert_\varSigma} \\
s &= \varSigma^{-1} (\mu - r \boldsymbol{1})
\end{aligned}
であることがわかります.

これ,よく見て高校の数学を思い出せば,多次元のベクトルであるものの
θ は sw の間の角度によって決まることがわかるかと思います.
よって単純に(無制約で) θ を最大化する ws の方向と同じ方向のはずですね~
つまり w = α s (α > 0) ということです.

メモ:より正確にはCauchy-Schwartzの不等式から

\theta(w) \le \frac{ \lVert s \rVert_\varSigma \lVert w \rVert_\varSigma}{\lVert w \rVert_\varSigma} = \lVert s \rVert_\varSigma
で等号は w = α s (α > 0) の時成立することが知られています.

もしこの方向で 1Tw = 1 を満たす w が見つかれば
それが求める解ということになります!

まずはこの簡単な状況にターゲットを絞って問題を解きましょう!
俗に言う場合分けってやつですな^_^;

条件 1Tw = 1 に w = α s を代入して
α について解くと α = 1 / (1Ts) です.
しかし α > 0 を満たさなければならないので,

\boldsymbol{1}^T s =
\boldsymbol{1}^T \varSigma^{-1} (\mu - r \boldsymbol{1}) > 0
となる条件下では

w = \alpha s = \frac{\varSigma^{-1}(\mu - r\boldsymbol{1})}{
\boldsymbol{1}^T \varSigma^{-1}(\mu - r\boldsymbol{1})}
が解になりますね!

またこの時のシャープレシオの最大値は

\theta(\alpha s) = \lVert s \rVert_\varSigma
= \sqrt{(\mu - r \boldsymbol{1})^T \varSigma^{-1} (\mu - r \boldsymbol{1})}
で与えられます(*^^)v


上記をまとめると次の部分的な結果を得ます:
【途中結果】
条件

\boldsymbol{1}^T \varSigma^{-1} (\mu - r \boldsymbol{1}) > 0
が成り立つ時,シャープレシオ θ は

w = \frac{\varSigma^{-1}(\mu - r\boldsymbol{1})}{
\boldsymbol{1}^T \varSigma^{-1}(\mu - r\boldsymbol{1})}
で最大値

\theta_{\max} = \sqrt{(\mu - r \boldsymbol{1})^T \varSigma^{-1} (\mu - r \boldsymbol{1})}
を取る.


では上の条件が満たされないときはどうなんでしょうか??
次回からはこの場合を考えたいと思いますが,
先に結論から言ってしまうと,
上の条件が満たされない時は最大値は存在しません.
まあ正確に言いますと~,
上限は存在してそれを任意の精度で近似するポートフォリオは作れます.
ただそれは非常にサックスなポートフォリオになりますが…
これは次回以降に詳しく述べたいと思います.


上のケースでは意外と簡単に,幾何学的直観に基づいて答えを導けましたが
次回のケースはもう少し繁雑になりますので…

それではまた~
(@^^)/~~~

シャープレシオと一般化レイリー商の関係…

前回はシャープレシオとその最大化の意味について考えました
そこで今日はその最大化問題を考えましょう

まず,シャープレシオを思い出しましょう
w : ポートフォリオベクトル
rp, σp : ポートフォリオのリターンの平均と標準偏差
ra, Σ : 各資産の期待リターンベクトルと共分散行列
rf : リスクフリーレート
とすると

\theta(w) = \frac{r_p - r_f}{\sigma_p} = \frac{r_a^T w - r_f}{\sqrt{w^T \varSigma w}}
= \frac{r^T w}{\sqrt{w^T \varSigma w}}
となりますね
ここで w の成分和は1として,rra の各成分からrf を引いたもの,つまり r の第i成分はr[i] = ra[i] - rf とおくことで最後の等号を得ました

つまり,解くべき最適化問題は

\begin{aligned}
\text{maximize} &\quad \theta(w) = \frac{r^T w}{\sqrt{w^T \varSigma w}} \\
\text{subject to} &\quad \sum_i w_i = \boldsymbol{1}^T w = 1
\end{aligned}
ということです!
ここで1は成分がすべて1のベクトルです.

さて,以前に一般化レイリー章の最大化問題を考えましたが
なんとなくシャープレシオ θ の関数形と似ていますね~(@_@;)

そうです.
実はシャープレシオの二乗は

\theta^2(w) = \frac{ w^T r r^T w }{w^T \varSigma w}
になるので, θ2無制約で最大化する問題は
一般化レイリー商最大化問題となります(+_+)

しかし,そうです,お気づきのように…

  1. w は成分を足したら1になるという制約付き

  2. θ は負の値も取り得るので単に二乗を最大化してもダメ


なのです(>_<)

従って残念ながら以前の議論はあてはめることができませんです
ぉぃぉぃ


そうなってくると別の方法を考えなければなりませんね(:_;)
以前の苦労は水の泡ってわけです~(^^)

そもそも関数は非線形の難しい形をしていますし
制約はコンパクトでないので最大値があるのかすら怪しい…
となってくると一般解が閉じた形で書けるのかと不安になりますね
(閉じた形とはw = ほげほげと書けるということです)

でもできちゃったもんね(*^^)v
ここ数日更新が滞っていたのは考えていたためであります

次回からはこの解を求めていきたいと思うわけですが
一般化レイリー章の最大化問題で使った
「内積を都合良く定める作戦」が役立ちます
解は意外と綺麗な形をしてますよ~☆

さて,今日はこのあたりでお別れしたいと思います.
問題の解法をやったあとは実データでポートフォリオの構成
にもチャレンジしてみたいとおもいまする!

そんでは!
(@^^)/~~~

2009年5月19日火曜日

シャープレシオとその最大化について

前回はポートフォリオのリターンとリスクを勉強しました.
今日は最適化指標の一つである
シャープレシオ (Sharp ratio) を最適化する問題を考えます!

ようやく投資を考えてる雰囲気がでてきました~(*^_^*)

まずは復習ですが、ポートフォリオ w のリターンとリスクは
期待値と分散によって考えました.
ご存じの通り,分散は単位としては2乗になってしまうので,
今日はルートを取って標準偏差を考えます.

早速ですが,シャープレシオは
リターンの期待値と標準偏差を用いて
次のように定義されます:

\theta(w) = \frac{r_p - r_f}{\sigma_p} = \frac{ w^T \overline{r} - r_f}{ \sqrt{w^T \varSigma w} }
ここで rfはリスクフリーレートと呼ばれるもので,
国債のリターンとか銀行の金利とか安全に
獲得できる資産の収益率です.

巷ではこの数字が大きいファンドが良いとされていますが,
それはなぜでしょうか?
以下それを考察します.

今,安全資産とポートフォリオ w から組成された危険資産を組み合わせて作った資産を考えましょう.
つまり,安全資産とこの危険資産を α:(1-α)の比率で持ちます.
(簡単のため 0 ≤ α ≤ 1 としましょう)
この時の期待リターンは当然

r_\alpha = \alpha r_f + (1 - \alpha) r_p
になります.標準偏差(リスク)は

\sigma_\alpha = (1 - \alpha) \sigma_p
になります.

パラメータ α を色々動かすことで
リスクとリターンをコントロールできることがわかると思います.
ここが肝心なところです!

今,シャープレシオ θ1と θ2 を持つ
2つのファンドがあったとします.
ただし θ1 > θ2としましょう.
上の議論から安全資産と適当に組み合わせてリスクとリターンをコントロール
することができますね.
そこでリスクに対するリターンをグラフにしてみます.
横軸に標準偏差,縦軸にリターンをとると図のようになります.

このグラフの線上は,安全資産とファンドを上手く組み合わせて
実現可能なリスクとリターンの関係を表しています.
つまり α を動かしたときの点 (rα, σα)の軌跡です.
このグラフから明らかなように,
同じだけのリスクを取る(ある標準偏差を見る)とシャープが大きいほうが
リターンが大きいことがわかると思います.

同じリスクを取るならリターンが大きいほうが良い

あたりまえですね(>_<)
これに反論する人はそうはいないと思います…

まとめ: 安全資産と危険資産を組み合わせて所望のリスクを実現するならば,危険資産のシャープが大きいほうが期待リターンを大きくできる.

ということでシャープを最大化するようにポートフォリオを組むことが
重要な問題となりますね!!

これが以前紹介した一般化レイリー商の問題になる模様です!
僕の友人はこういうことを考えていたんですね~さすが.
ようやく理解.

次回からはこいつを最大化する問題に取り組んでいきたいとおもいます!!
では~★

2009年5月18日月曜日

リスクとリターン:確率変数の導入

今日はリスクとリターンについて考えます.

1期間モデルを考えましょう.
つまり,ポートフォリオを組んだ後,しばらくして決済するってことです.

n 種類の資産からなるポートフォリオ
w = (w_1, w_2, \dots, w_n)^T
を持ってます.
これから考える問題は…
このポートフォリオのリターンとリスクを評価する問題です(^^)


さて,まずはリターンから考えましょう.
資産 i の1期間後の値上がり率をri とします.
もしri < 1 ならそれは値下がりしたってことです…

もちろん値上がり率なんて「神のみぞ知る」ですから
不確定さを表現するために確率変数としてモデル化します.

このとき,ポートフォリオによる収益は1期間後に

\begin{aligned} s &= w_1 r_1 + w_2 r_2 + \dots + w_n r_n \\
&= w^T r, \\ r &= (r_1, r_2, \dots, r_n)^T \end{aligned}
になります.
ここで,sw が比による表現なら収益率を表し,
金額による表現ならいくら儲かったかを表しますね~

これがリターンです.
数学的にはユークリッド内積であらわせます.

期待されるリターンはもちろん
\mathbb{E}[s] = w^T \mathbb{E}[r]
になります.
あ,ベクトルの期待値は各成分ごとの期待値です…念のため.


この期待されるリターンはいったいどれくらいの
「不確かさ」を含んでいるのでしょうか?
これがすなわち「リスク」であり,分散で表現します.

資産iと資産j の共分散が σij の時
期待リターンの分散は次のようになりますね:

\begin{aligned}
\sigma^2 &= \mathbb{E} [ (s - \mathbb{E}[s])^2 ] \\
&= w^T \mathbb{E} [ (r - \mathbb{E}[r]) (r - \mathbb{E}[r])^T ] w \\
&= w^T \varSigma w
\end{aligned}
ここで Σ は共分散行列で ij成分が σijの行列です.

この2次形式で表わされる量がポートフォリオの分散,すなわちリスクになります.
ポートフォリオの最適化では基本的にはこれら2つの量,
期待リターンとリスクを最適化する模様です!!

今日のまとめ: ポートフォリオ w の期待リターンとリスクはそれぞれ

\begin{aligned} s &= w^T \overline{r} ; \\ \sigma^2 &= w^T \varSigma w \end{aligned}
である.ここで,\overline{r}, \ \varSigmaはそれぞれリターンの期待値ベクトルと共分散行列である.

だんだん最適化っぽくなってきましたね!
それではまた~(^^)/

ポートフォリオの表現 補足

ちょい今週は忙しくて更新が滞っておりました(-_-;)

前回ポートフォリオの表現について述べたんですが,
友人から指摘を受けました…

どうやら,現実世界では空売りして得たお金は担保になるだか
どうだかで,使えないらしいです...

よってある株Aを空売りして得たお金で別の株Bを買うってのは
できないみたいですねー

ただ,ポートフォリオの表現としては前回ので問題ない
と思います.

つまり,どう金を回そうが,
ポートフォリオに関連したキャッシュフロー
の支出が投資総額ですね.

例えばこんなのはナシです.
株Aと株Bからなるポートフォリオを組むために
消費者金融から100万円借金して株AとBをそれぞれ50万円分買いました!
僕は一銭も出してませんので,投資総額はX0 = 0

はい,違いますね~
今ポートフォリオとして借金は考えていませんから,
結局100万をどうファイナンスしてこようが,
投資総額は100万ということです.

なんか,混乱~ですね~(@_@)


今,さらに良く分からないことが…

株Aを50万円買ってBを50万円空売りしました.
(自分はお金を無限に持っているので
Aを売ったお金でBを買ったというわけではない
ということにしておきます)
このとき,株ABに関するキャッシュフローは
明らかに 50 - 50 = 0 ですから,
X0 = 0 ということに…
こうなると比を定義できないっすね~


たぶんですけど,
ポートフォリオベクトルの各成分は投資総額に対する比でなくて,
投資金額そのものにしてしまえば上手くいくんじゃないかなと.

株Aを50万円買ってBを50万円空売りしたなら
w = (50, -50)
にしようってことです.
これなら足して1とか条件をつけなければ問題ありませんね.

まあ普通は投資するなら金持ってないとだめなんで
X0 > 0
だからOKなんでしょうけどね(^_^;)
もし上のように初期キャピタル0で儲かったら
そりゃー裁定ですからねぇ

Luenberger先生の本を読んでくと,結局最終的にはX0とか出てこないっぽいです.
ので,今後は柔軟に考えていくことにします.

まとめ: ポートフォリオはとにかくベクトル表現!「足したら1」という条件を入れたらそれは比による表現.もし入れなかったら金額による表現てことで.

では~!!

2009年5月13日水曜日

ポートフォリオ理論を勉強しよう

と思います.
しばらくの間.

ポートフォリオに関しては
友人とディスカッションして結構盛り上がりました~

こないだ書いた一般化固有値の問題は
シャープレシオってものの最大化問題らしいです
この辺りを目標に頑張りたいと思います(^^)/


ところで,(数学的に)ポートフォリオ理論を勉強する上で
「ポートフォリオ」の表現をきちっと勉強しておきたいと思います.
今日はその話題です.


Luenberger先生の本(末尾参考)によれば,
ポートフォリオとは「各資産の投資総額に対する割合の組」
だそうです.

ごちゃごちゃ言われても分からないので式にしましょう~

n 種類の投資商品があって
各商品に Xi, i = 1, … n 円ずつ投資しているとします.

そうすると投資総額は
 X = \sum_{i=1}^n X_i
になりますね~

よって各商品に対する投資額の割合は…
w_i = \frac{X_i}{X}
になります.
すなわち,n 次元ベクトル
w = (w_1, w_2, \dots, w_n)^t
がポートフォリオということになります!

ここで注意したいのは,定義から明らかに
\sum_{i=1}^n w_i = 1
になるということです.

ここでちょっとドキッとしました…
wiは負になってもよい!
みたいですね.

これは,空売りが許されている場合,
例えば資産1を50万円空売りしていたら,
お金が増えちゃっていますので X1 = -50万
ということになります(@_@;)
※つまり各 Xi は支出と考えます

最後に例を挙げておきます
例: 俺は50万円持っています.会社Aの株を50万円分空売りした後,100万円分会社Bの株を買いました.このとき俺のポートフォリオは
w = (-1, 2)^t
です.

この例だと,投資総額は150万円のようにも思いますが,
実際自分の懐からは50万円しか出ていませんね~
よって投資総額は X = 50万です.
空売りが入るとちょっと混乱ですね~(+_+)

むしろ X は投資総額というよりは,
ポートフォリオを組むために必要な金額
ってことですね~(^^)

次回からはリスクとリターンについて考えていきたいと思います.
では~

参考文献
David G. Luenberger, "Investment Science" (邦訳もあります)

2009年5月9日土曜日


今日はちょっと息抜き〜

実は昨日すんごい綺麗な虹が出たんです!
思わず携帯で撮っちゃいましたよ♪

携帯で撮ったからあまり綺麗でないですが、
目で見た虹はこれでもか!
ってくらい大きくできてました〜

良く見ると右側にもう一本あるのが見えますかね〜
そう、2重の虹だったんですよ。


この不景気&インフルエンザという悪い話が
てんこ盛りの今日この頃。

癒されました。

あ、そういえば日経平均は急騰したね。
買った人も負けた人もいるだろーね。
まあ上がったに越したことはないのかなーと
素人発想です。


ささ、勝つための投資法を考るため日々勉強だー!

2009年5月5日火曜日

一般化レイリー商最大化・最小化問題 その4

<<前回までの記事>>
第1回第2回, 第3回

こんにちは~
もうGWも終わってしまいますね(:_;)

前回までは対称行列のH-直交行列による
スペクトル分解(対角化)を導くために色々とやってきました.
今日はそれを使って遂にR(x)の最大化問題を解きましょう!!

まずは前回のおさらいです( ..)φ
実対称行列 Aのスペクトル分解は…
A = \sum_{i=1}^n \lambda_i H v_i v_i^t H
と書けるのでした!
ここで λi は一般化固有値で vi は λi に対応する一般化固有ベクトルでしたね~

これより,Aの二次形式は
\begin{aligned} x^t A x &= \sum_{i=1}^n \lambda_i x^t H v_i v_i^t H x 
= \sum_{i=1}^n \lambda_i \langle v_i, x \rangle_H^2 \\
&\le \lambda_{\rm max} \sum_{i=1}^n \langle v_i, x \rangle_H^2 = \lambda_{\rm max} \lVert x \rVert_H^2\end{aligned}
と上から抑えられます.
ここで λmax は最大の λi で,最後の等号は viH-正規直交基底をなすことから
x = \sum_{i=1}^n \langle x, v_i \rangle_H v_i
と分解できるので成り立ちます.

従ってx ≠ 0ならば
R(x) = \frac{x^t A x}{x^t H x} = \frac{x^t A x}{\lVert x \rVert_H^2} \le \lambda_{\rm max}
が成り立ちます!
さらに,等号は x が λmax に対応する一般化固有ベクトル vmax
時に成り立つことは明らかでしょう!

まとめ: 一般化Rayleigh商は(A, H)の最大一般化固有値 λmax を最大値に持ち,それは λmax に対応する一般化固有ベクトル vmax で達成される:
R(x) \le R(v_{\rm max}) = \lambda_{\rm max}\quad \text{for}\ x \neq 0


そのうちこれを解くアルゴリズムなんかについても書けたらいいと思ってます!
それでは~(^^)/

~*~*~ 補足 ~*~*~

実はこの問題,変数変換を考えると
通常のRayleigh商最大化問題に帰着されます(-_-;) ぉぃぉぃ

Hは実対称なので直交行列で対角化できます:
H = U \Sigma U^t;\quad U^tU = U U^t = I, \quad \Sigma = \mathop{\rm diag}(\sigma_1, \dots, \sigma_n)
さらに,正定値性はσi > 0 を保証するので
D = \mathop{\rm diag}(\sqrt{\sigma}_1, \dots, \sqrt{\sigma}_n)
を定義することができます.
従って G = UD とおくと H = GGtです.

そこで y = Gtxと変数変換をすると,
Gが正則(G-1 = D-1Ut)であるので
\frac{x^t A x}{x^t H x} = \frac{y^t G^{-1} A G^{-t} y}{y^t y}
となります.
右辺は y に関して通常のRayleigh商だから
G-1AG-tの最大固有値に対応する固有ベクトルで最大になります.

Gの定義と変数変換の式から
G^{-1}AG^{-t} y= \lambda y \Leftrightarrow Ax = \lambda H x
になるので,結局答えは(A, H)の最大の一般化固有値という風に結論できますね.

この方式は簡単ですけど,背後に潜む直交性などが隠れてしまいます.
ということで今回は新しい直交性を導入した解法を紹介してきました.

一般化レイリー商最大化・最小化問題 その3

<<前回までの記事>>
第2回第1回

こんにちは(^^)/
みなさんGWはどうお過ごしでしょうか?
さ,せっかくの休みなのに数学の続きですー orz

前回H-直交行列という新しい概念を導入しましたね.
今日は対称行列の対角化とスペクトル分解を紹介します!
一般化レイリー商R(x)の最大化問題の肝となる部分です!!

実対称行列が直交行列で対角化できることはよく知られた事実ですが,
実はH-直交行列によっても対角化できちゃいます~

定理: n次実対称行列AはあるH-直交行列Vを用いて次のように対角化できる:
V^t A V = \varLambda = \mathop{\rm diag}(\lambda_1, \dots, \lambda_n)
ここで,λiは(A, H)の一般化固有値であり,Vの第i列はλiに対応する一般化固有ベクトルとなる.

証明: 対称行列を直交行列で対角化する証明と同じようにできます.
ただ,ブログに書くのはあれなので,スキップさせてくださいねm(__)m
(一般化固有ベクトルがH-直交するように選べることを示せば良いです.)
ちなみに異なる一般化固有値に対応する一般化固有ベクトル同士はH-直交します.
重複する一般化固有値に対しては,固有空間からH-直交な基底を取ってきます.
サイズnに関する帰納法を使うと簡単に示せます.
下の本なんか参考になると思います↓↓↓


さて,対角化ときたらスペクトル分解もすぐ導けます~

系: n次実対称行列Aは(A, H)のH-正規直交な一般化固有ベクトル vi, i = 1, 2, … n, とそれに対応する一般化固有値 λi, i = 1, 2, … n, を用いて次のように分解できる.
A = H V \Lambda V^t H = \sum_{i = 1}^n \lambda_i H v_i v_i^t H
証明: V = [v1, …, vn] と置くと,VH-直交行列でAVtAV = Λと対角化できる.この両辺に左からHV,右からVtHを掛けてVVt = H-1 という関係を用いればよい. Q.E.D.

次回は遂にスペクトル分解を用いて
一般化レイリー商R(x)の最大化問題の解を求めたいと思います!

それでは~

2009年5月4日月曜日

一般化レイリー商最大化・最小化問題 その2

<<前回はこちら>>

こんにちわ(^^)
前回は一般化レイリー商R(x)の最大化問題の解は
(A, H)の一般化固有値問題に帰着されるということに触れました~
今日はここのところをもう少し深く考えたいと思います!

実は一般化固有値の正体は考えている条件下では簡単です.
今,Hは対称正定値なので正則です.
従って,定義から(A, H)の一般化固有値はH-1Aの固有値になります…
でももう少しスマートに問題に取り組みたいですよね!

まずは一般化固有値が実数となることを簡単に確認して,
それから最大化問題を考えましょう.

定理: Aを実対称行列,Hを実対称正定値行列とする.このとき,(A, H)の一般化固有値は実数となり,一般化固有ベクトルとして実ベクトルを選ぶことができる.

証明: λとvを一般化固有値とそれに対応する非零の一般化固有ベクトルとすると,AHが実対称なので
\lambda v^* H v = v^* A v = (A v)^* v = \overline{\lambda} v^* H v
を得る.今Hは正定値なのでv*Hv > 0.よってλ = λ,すなわちλは実数である.
また,λが実数かつA, Hが実対称なので,vの共役vもλに対応する一般化固有ベクトルとなる.よってRe(v) = (v + v) / 2も(A, H)の一般化固有ベクトルとなるので,vとして実ベクトルを取れる. Q.E.D.

はてさて,問題を考えるにあたり,新しい「内積」とその内積の意味での直交を定義します.

定義: n次元実ベクトル空間の内積⟨⋅,⋅⟩Hとノルム||⋅||Hを次のように定める:
\begin{aligned}\langle x, y \rangle_H &= y^t H x\\ \lVert x \rVert_H &= \sqrt{\langle x, x \rangle_H}\end{aligned}
また,⟨x, yH = 0となる時,xyH-直交すると言う.

ここで,Hは対称正定値なので上式は内積の定義を満足することに注意してください~
それによって誘導されたノルム||⋅||Hもノルムの性質を満たします.
つまり,(Rn, ⟨⋅,⋅⟩H)はヒルベルト空間になりますね:P

さらに,新しい直交行列の概念を導入しましょう!

定義: n次実正方行列Vの各列vi, i = 1, 2, …, n, が次の条件を満たすとき,H-直交行列と呼ぶ:
\langle v_i, v_j \rangle_H = \delta_{ij} = \begin{cases} 1 & \text{if}\ i = j\\ 0 & \text{if}\ i \neq j\end{cases}
すなわち,Vの各列は互いにH-直交し,H-ノルムで正規化されている.
Vの列がヒルベルト空間(Rn, ⟨⋅,⋅⟩H)の正規直交基底を成す.)

これが直交行列の一般化であることはすぐわかると思います.
上の定義を行列を使って表現すると次のようになります:

定理: 次の3つは同値である.
  1. VH-直交行列
  2. V^tHV=I
  3. VV^t=H^{-1}

証明: (1)⇔(2)は自明.(2)⇔(3)もVの各列が一次独立なのでVがフルランクになることに注意すればH = (VVt)-1 = V-tV-1より明らか. Q.E.D.

少し準備が長くなってしまいました(@_@;)
次回は一般化Rayleigh商最大化問題を解く上で肝となる対称行列AH-直交行列による対角化とスペクトル分解について書きたいと思います.

なかなか解にたどり着きませんが,頑張ります~( ..)φ

2009年5月3日日曜日

あなたの家の屋根 いくらでしょうか?

問題: あなたはマイホームを持っています.
しかし,屋根が老朽化してあとn年で壊れてしまいます.
大工の腕が良かったのか,屋根以外は永久に壊れそうにありません.
新しい屋根はp円しますがm年持ちます.
さて,あなたのマイホームの屋根にはいくらの価値があるでしょうか?
ただし,金利は年率100r% (r > 0)で,金利も新しい屋根の値段も未来永劫変わらないと仮定します.

物の価値を計算することも投資には重要です.
ということで今日はこの簡単な問題を考えます.

価値計算ではComparison Principleというものが重要になってきます.
はい,そうですね!
いくらか分からない物を,すでに値段が付いている同等な効果を持つ物と比較して価値を決めようってことです!
上の問題の場合,価値の分からないボロい屋根と新しい屋根を比較します~

家は永久に壊れないので,屋根も永久に交換し続けてあげなければなりません.
もしm年ごとに新しい屋根に交換するとしたら,
この先必要な屋根代の総額は


\begin{aligned}
C_{\text{new}} &= p + \frac{p}{(1+r)^m} + \frac{p}{(1+r)^{2m}} + \cdots\\
&= \frac{ (1+r)^m }{ (1+r)^m - 1 } \cdot p
\end{aligned}


となります.
(預金しておけば,m年後にはお金が(1+r)m倍になることに注意してください!
これはPresent Value (PV)の考え方です.)

同様に,マイホームの屋根の値段をxとすれば,
この屋根をn年ごとに買い換えるのに要する総額は


C_{\text{old}} = \frac{ (1+r)^n }{ (1+r)^n - 1 } \cdot x

となります.

これら2つの価値が等しいとおき,xについて解くと,
マイホームの屋根の値段を次のように査定できます!


x = \frac{ (1+r)^n - 1 }{ (1+r)^m - 1 } (1+r)^{m-n} \cdot p


たとえば,屋根がn = 5年で壊れ,
新しい屋根はp = 2,000,000円でm = 20年持ち,
金利が5% (r = 0.05)とすれば,
x = 694,820円ということになります~

まあ実際はボロい屋根なんだから価値としてはCold < Cnewとなるべきな気もしますが(^_^;)

今日勉強した話は簡単でした~
より難しいプライシングも勉強していきたいと思います(^^)

参考文献
David G. Luenberger, Investment Science, Oxford University Press, New York, 1998.

2009年5月1日金曜日

一般化レイリー商最大化・最小化問題 その1

ポートフォリオってやっぱ最適化したいですよね~

以前友達がある尺度で最適なポートフォリオを考えると,
次のような問題を考えることになると言ってました!
(なぜそうなるかはよくわかってませんが…要勉強)

問題:次の最適化問題を解け:
\mathop{\rm maximize}\limit_{x \neq 0} \quad R(x) = \frac{x^t A x}{x^t H x}

ただし,An次実対称行列,Hn次実対称正定値行列とする.

実は,このR(x)は一般化Rayleigh商と呼ばれていて,
R(x)の最大化・最小化)問題は一般化固有値を求める問題に帰着されます~
一般化固有値とは次のようなもんです( ..)φ

定義:行列A, Hに対し,次の等式を満たすスカラーλを(A, H)の一般化固有値と呼ぶ.
Av = \lambda Hv

また,ベクトルvをλに対応する一般化固有ベクトルと呼ぶ.

さてさて,先に答えを教えちゃうと…
R(x)の最大値は(A, H)の最大の一般化固有値λmaxであり,
最大値はλmaxに対応する一般化固有ベクトルvmaxで達成されます!
つまりR(vmax) = λmaxということです(^^)

もちろん,最大の一般化固有値~と言っている以上,
(A, H)の一般化固有値は実数であることが証明できますし,
vmaxも実ベクトルに選ぶことができます.

最小化問題も同様に,最小の一般化固有値とそれに対応する一般化固有ベクトルが解となります.

ん~,一般化とか言われるとなんだか一見難しそうですが…
実はそんなことありません!
これは「直交の意味が普通とは異なる世界」で固有値問題を考えるのと同じです.

よくわからないかもしれませんが,
この問題については次回以降に詳しく書きたいと思います~

今日はポートフォリオの話からはひどく乖離してしまいました…
ポートフォリオなどもいずれ考えれたらいいと思ってます.
それでは~

2009年4月13日月曜日

数式テスト

jsTeXrenderとかいうもので数式が入力できるらしいので早速テスト.

d S_t = \mu S_t \, dt + \sigma S_t \, d B_t

\lVert X \rVert_{L^2(\mathbb{P})}^2 = \int_\varOmega \lvert X(\omega) \rvert^2 \, d \mathbb{P}(\omega)


x = \liminf_{n \to \infty} x_n \ge \limsup_{n \to \infty} x_n \Rightarrow x_n \to x


A_n = A_{n - 1} \setminus \bigcup_{k = 0}^{\infty} \biggl( \frac{1 + 3 k}{3^n}, \frac{2 + 3 k}{3^n} \biggr)


\begin{aligned}
A &= f(x)\\ B &= g(x)
\end{aligned}


これはインラインです.\textstyle ABC \int_a^b f(x)\,dxここまで
すばらしいすっ!!λ &alphamax;

初投稿です

こんにちは~Noriです!
今更ながらBlogを始めてみます~

新しいことに挑戦したい!!
ってことで投資でもしてみようかと思い立ちました!
がお金も必要じゃんー(@_@;)

何か面白いことを書けたらいいなと思ってますので,
どうぞよろしくおねがいしますね!